




一音一音と、丁寧に向き合う姿を描く
ピアノ調律師 福井瑞穂さんの「ピアノ調律の重要性を伝えるツールを作りたい」というご依頼から制作されたリーフレットです。福井さんの似顔絵と、調律の作業風景を描いています。
私も実家にピアノがあり、小学生の頃に、幼稚園教諭だった母と一緒に、少しだけ習っていました。年に一度、調律師さんが家に来てくれて、ピアノをメンテナンスしてくださっていた記憶があります。しかし具体的にどんな作業をしてくれていたのかは知らないまま大人になりました。
調律の現場を見学へ
今回イラストのご依頼をいただいた際に、福井さんにお願いして調律の現場を見学させていただきました。ピアノの構造や調律の細かい動作は、イラストにする上で実際に見てみないと分からないと思ったからです。
美しいグランドピアノを前に、福井さんが一音一音と向かい合う姿はまさに職人です。作画資料のために、調律の様子を撮影させていただきながら、なぜこの作業が必要なのか、この道具はどんな役割があるのか、など、繊細な作業や工夫をお伺いすることができました。
取材で、福井さんの真摯で優しいお人柄や、調律の繊細で難しい工程を感じ取ることができたので、それらをイラストにもしっかりと反映できたと思います。普段はディフォルメしたシンプルな作風を用いることが多いのですが、今回は「イラストとして分かりやすく簡略化する部分/ディフォルメ表現」と「丁寧に、緻密に描く部分」の両方を意識して描いています。とくにグランドピアノの俯瞰図は、調律は一音一音を整えていく繊細な作業であることが伝わるように、弦や鍵盤を丁寧に描きました。
PIANO TUNING HANDBOOK ピアノと永く暮らすピアノ調律の手引き
2024年制作
Client: 福井瑞穂(ピアノ調律師) Mizuho Fukui
AD,D: 石原由貴(matoi)Yuki Ishihara(matoi)
Illustration: 髙橋マサエ Masae Takahashi
Application: Adobe Fresco